小説「新・人間革命」 暁鐘 七十八 2017年12月2日

世界平和文化祭は、開催国アメリカの音楽と踊りに移った。
カウボーイハットを被ってのウエスタンダンス、ハワイアンダンス、さらに、チャールストン、ジルバ、タップダンスと、陽気で賑やかなアメリカンダンスの世界が繰り広げられていく。
一転。暗くなった舞台に立つ一組の男女をスポットライトが照らす。
山本伸一が詠んだ詩「我が愛するアメリカの地涌の若人に贈る」の、力強い朗読の声が流れる。
 
「あらゆる国の人々が集い共和した
 合衆の国 アメリ
 これこそ世界の縮図である
 このアメリカの
 多民族の結合と連帯の中にこそ
 世界平和への図式の原則が
 含まれているといってよいだろう……」
 
やがて朗読が終わると、決意のこもった大拍手が場内を揺るがした。
拍手には、アメリカから世界平和の波を起こそうとする同志の思いが、ほとばしりあふれていた。
フィナーレでは出演者が舞台を埋め尽くし、アルゼンチン、オーストリア……と、各国の旗を持った出演者が前へ進み出て、高く掲げる。
全世界から人びとが集う、人間共和の合衆国アメリカの理想を讃え、決意を表明したものだ。
観客席では、それぞれの国の関係者らが立ち上がって拍手し、喝采の波が会場中に広がる。
そして、歓喜の歌声が響き、スクラムが大きく揺れる。
地球は一つ、世界は一つであることを、描き出した、美事な世界平和文化祭であった。
ここに、創価の世界広布新章節の幕は上がり、高らかに、晴れやかに、旅立ちのファンファーレは轟き渡ったのだ。
この世界広宣流布の大潮流は、いかなる力をもってしても、決して、とどめることはできない。
「一閻浮提広宣流布」は、日蓮大聖人の御遺命であるからだ。
そして、その御本仏の大誓願を実現しゆくことこそ、創価学会が現代に出現した意義であり、われらの久遠の大使命であるからだ。