小説「新・人間革命」 勝ち鬨 八 2017年12月15日
伸一の行事出席の予告は異例のことであり、それは、いよいよ全国の同志とスクラムを組み、新たな前進を開始しようとする、彼の強い決意の表明でもあった。
また、十月三十一日、創価大学の第十一回「創大祭」のオープニングセレモニーに出席した彼は、「歴史と人物を考察──迫害と人生」と題して講演した。
嵐のなかを営々と信念の歩みを貫いた崇高な人間の生き方を語った。
そして、偉業には、迫害、苦難が、なかば宿命づけられていると洞察していった。
──それは、歴史的偉業をなす人物は、民衆の大地にしっかりと根を張っている。
それゆえに、民衆の犠牲の上に君臨する権力者たちは危機感を募らせ、野望と保身から発する妬みと羨望の炎に身を焦がし、民衆のリーダーを躍起になって排斥しようとするからである。
それが迫害の構図であると訴えたのだ。
彼は、力を込めて、自身の信念を語った。
「私も一仏法者として、一庶民として、全くいわれなき中傷と迫害の連続でありました。
しかし、僭越ながら、この“迫害の構図”に照らして見れば、迫害こそ、むしろ仏法者の誉れであります。
人生の最高の錦であると思っております。後世の歴史は、必ずや事の真実を厳しく審判していくであろうことを、この場をお借りして断言しておきます」
伸一は、未来に向けての勝利宣言を、愛する創大生と共に、とどめたのである。