小説「新・人間革命」 勝ち鬨 二十二 2018年1月4日

山本伸一は、さらに、「紅の歌」の歌詞に思いをめぐらしていった。
「毀誉褒貶の 人降し……」
「毀誉」とは、「毀る」ことと「誉める」ことであり、「褒貶」とは、「褒める」ことと「貶す」ことである。
──無節操に、信念もなく、状況次第で手のひらを返すような生き方を見おろして、崇高なる「信念の道」を進むのが創価の師弟である。
それが真の「人間の道」である。
初代会長・牧口常三郎先生を、偉大なる教育思想家として慕っていた人びとが、軍部政府の弾圧で先生が逮捕・投獄されるや、態度を翻し、平気で「牧口にだまされた」と罵詈雑言を浴びせたのだ。
また、戦後、戸田先生の事業が行き詰まった時も、さんざん先生の世話になった人たちが、その恩義も忘れ、悪口中傷を重ねたのである。
そんな徒輩の言に、一喜一憂することがあってはならない。広宣流布という信念の「輝く王道」を、悠々と進みゆくのだ。
われらには、師弟の大道を征く無上の誇りがある。ともどもに誓いの父子の詩を綴りゆくのだ。
青年の君たちがいる限り、私は安心だ。どうか、私を土台にし、私を凌ぎ、大樹へと育ってほしい。
私は、敬愛の思いをもって、君たちを仰ぎ、賞讃したい。
新世紀の大空に伸びゆく君たちよ!
未来のために、自らを磨き、鍛え、働き、学び、喜び勇んで労苦を担っていくのだ。
「青春の 金の汗」こそ、永遠に自身を荘厳する財産となるにちがいない。
私には、見える。青々と葉を茂らせ、明日へ伸びゆく木々の頭上に、燦然と輝く栄光の虹が!
さあ、若き翼よ!
地平線の彼方に、澎湃として躍り出よ!
万葉の人間讃歌の時代を、絢爛たる生命尊厳の新世紀を開くために、舞いに舞い征け!
創価の青年の情熱と力で、二十一世紀の大勝利の幕を、断じて開くのだ。
後継のバトンは、君らの手にある。