小説「新・人間革命」 勝ち鬨 五十一 2018年2月8日

十二月十三日昼、山本伸一は、学会員が営む喫茶店で、五十人ほどの各部の代表と懇談会をもち、さらに南九州婦人会館を視察して熊本文化会館に戻ると、会館を訪れる人と相次ぎ記念撮影した。
夜には、熊本文化会館での会館落成五周年を記念する県幹部会に出席した。
県幹部会では、県長の平賀功一郎から、明年五月に文化祭を開催することや、新世紀への出発の誓いをこめた「熊本宣言」などが発表された。
伸一は、席上、熊本県、なかんずく水俣、八代、人吉、荒尾、天草、阿蘇方面等の同志の奮闘を讃えたあと、広宣流布のために呼吸を合わせていくことの大切さを訴えた。
広宣流布を進めていくうえで最優先すべきは、皆が呼吸を合わせていくことであるといっても過言ではない。
学会が未曾有の大発展を遂げたのも、御本尊の仏力、法力によるのは当然として、皆が信心を根本に呼吸を合わせ、それぞれの地域の広宣流布に邁進してくださったからにほかなりません。
活動を推進していくうえでは、協議が大事です。ところが、いろいろな考え方があり、なかなか意見がまとまらないこともあるかもしれない。
そうした時には、常に、なんのためであるかに立ち返ることです。
たとえば、旅客機の操縦士ら乗員は、大勢の乗客を無事に目的地へ運ぶために、安全を第一に考え、任務を遂行していきます。
無理をしたり、冒険をしたりすれば、大きな事故につながりかねない。
私たちの活動も、多くの仏子である同志を、安全、無事故で、崩れざる幸福の都へ運ぶことが目的です。
そのために、皆が楽しく、生活と人生を歩めるように考慮し、全体観に立つことが必要です。
皆が、この目的観に立ち、心を一つにして呼吸を合わせてこそ、実りある協議もできるし、目的を成就していくこともできる。
よく戸田先生は、言っておられた。
『信心のうえで呼吸が合わない人は、必ず落後していく』と。心すべきご指導です」