小説「新・人間革命」 勝ち鬨 五十三 2018年2月10日
彼は、すぐにページを開いた。
二・三面に見開きで掲載された、竹田の同志との記念写真が目に飛び込んできた。
これほどの大きな写真の扱いは異例である。
一人ひとりの顔までよくわかる。誇らかに胸を張り、凱歌が轟くような写真であった。
そして、「雄々しき大分竹田の同志に、長寿と多幸あれ」「岡城趾で『荒城の月』を大合唱」「『涙』と『悔しさ』に耐え抜いた三百人と」との見出しが躍っていた。
彼は、居合わせた記者たちに言った。
「すばらしいね。迫力がある。これで、みんな大喜びするよ! ありがとう!」
写真に写った同志の多くは、この新聞を額に入れて飾ったり、家宝として大切に保管した。
その後の人生のなかで、苦しいことや悲しいことに出遭うと、新聞に載った写真を見ては自らを元気づけ、勇気を奮い起こして頑張り抜いたという人も少なくない。
この十四日、伸一は、福岡県にも足を延ばし、久留米会館を訪れた。会館に集っていた同志と厳粛に勤行し、激励したあと、八女会館を初訪問した。
伸一は、広宣流布の途上には予期せぬ困難が待ち受けており、その時こそ、リーダーの存在が、振る舞いが重要になることを確認しておきたかった。
御聖訓には、「軍には大将軍を魂とす大将軍をく(臆)しぬれば歩兵臆病なり」(御書一二一九ページ)と仰せである。