小説「新・人間革命」 勝ち鬨 五十七 2018年2月15日

山本伸一は、確信のこもった声で言った。
広宣流布に生き、弘教に励むならば、経文、御書に照らして、難が競い起こることは間違いない
。これまでに私たちが受けてきた難も、すべて法華経の信心をしたがゆえに起こったものです。
しかし、『開目抄』に説かれているように難即成仏です。広宣流布に戦い、難を呼び起こし、それをバネに偉大なる人生へ、無上の幸福へと大飛躍していく力が信心なんです。
また、万策尽きて、生活や人生で敗れるようなことがあったとしても、私たちには御本尊がある。信心さえ破られなければ、必ず最後は勝ちます。
いや、すべての労苦を、その後の人生に、財産として生かしていけます。
安穏な人生が、必ずしも幸福とは言い切れません。また、難があるから不幸なのではない。
要は、何があっても負けない、強い自己自身をつくることができれば、悠々と、あたかも波乗りを楽しむように、試練の荒波も乗り越えていくことができる。
そのための信心であり、仏道修行なんです。
ゆえに、いかなる大難があろうが、感傷的になるのではなく、明るく、朗らかに、信念の人生を生き抜いていただきたい。
熊本といえば、『田原坂』の歌が有名ですが、人生には、いろいろな坂がある。
広宣流布の道にも、"越すにこされぬ"険路がある。しかし、広布の使命に生きる私たちは、その宿命的な坂を、一つ一つ、なんとしても乗り越えていかねばならない。
その戦いが人生であり、信心です。小さな坂で、へこたれては、絶対になりません。
田原坂』の歌には、『右手に血刀 左手に手綱 馬上ゆたかな 美少年』とある。
私たちは、『右手に慈悲 左手に生命の大哲学』を持つ、凜々しき後継の青年部に、次代の一切を託してまいりたい」
そして、結びに、「城南並びに天草の同志が、ますますの精進と団結とをもって、福運と栄光の人生を歩まれんことを、心より
お祈り申し上げたい」と述べ、あいさつとした。