小説「新・人間革命」 勝ち鬨 六十一  2018年2月20日

闇を破り、赫々と青年の太陽は昇る。
清らかな瞳、さわやかな笑み、満々たる闘志、みなぎる力──青年は希望だ。若人が躍り出れば、時代の夜明けが訪れる。
一九八二年(昭和五十七年)──学会は、この年を、「青年の年」と定め、はつらつと二十一世紀へのスタートを切った。
元朝山本伸一は、神奈川文化会館から、東天に昇りゆく旭日を見ていた。
"いよいよ青年の時代の幕が開いた!"
彼は、各方面に行くたびに、そのことを強く実感していた。
自身が手塩にかけて育ててきた青年たちが、若鷲のごとく、たくましく成長し、新世紀の大空へ大きく羽ばたかんと、決意に燃えているのだ。
"創価の全同志よ! 時は今だ。今こそ戦うのだ。
青年と共に広布の上げ潮をつくろう"
伸一は、新年にあたり、和歌を詠んだ。
 
 「妙法の 広布の彼方に 山みえむ
    金剛かがやき 旭日光りて」
 「幾たびか 嵐の山を 越え越えし
    尊き同志の 無事ぞ祈らむ」
 「死身をば 弘法にかえゆく 嬉しさよ
    永遠に残りし 歴史なりせば」
   
元日、神奈川文化会館では、八階、七階、五階、三階、地下二階と、五会場で新年勤行会が行われた。
モーニングに身を包んだ伸一は、各会場を回り、十数回にわたって勤行会に出席し、参加者を励ました。
彼は、この一年こそ、新世紀への勝利の流れを開く勝負の年であると心に決めていた。
それには、自らが同志の中へ入り、語らいを重ね、率先垂範をもって皆を鼓舞し、触発していく以外にないと結論していた。
闘将は、闘将によってのみ育まれる。
午後、創価高校サッカー部のメンバーが、神奈川文化会館に創立者の伸一を訪ねて来た。
彼らは、全国高校サッカー選手権大会の東京Bブロック代表となり、東京・国立競技場で行われた開会式が終わると、直ちに、大会出場の報告にやって来たのである。