小説「新・人間革命」 勝ち鬨 七十六  2018年3月9日

山本伸一は、さらに関矢都美子に、力を込めて語った。
「さあ、新しい出発ですよ。二十一世紀を、二〇〇一年の五月三日をめざして、一緒に前進しましょう」
「はい。その時、私は八十一歳になっています。
必ず元気に生き抜きますから、また、お会いくださいますか」
伸一は、微笑みながら答えた。
「あと、まだ二十年近くもあるじゃないですか。
何度も、何度も、何度も、お目にかかりましょう。
広宣流布のために、まことの時に苦労し、苦労し抜いて戦った方を、私は永遠に忘れません。
あなたのお名前は広布史に残り、光り輝いていくでしょう」
彼は、後日、関矢に句を贈っている。
 
 「世紀まで 共に生きなむ 地涌かな」
    
翌日の一月十二日、秋田文化会館の落成を祝う県幹部会が開催された。
これには、同じく宗門事件の試練を勝ち越えた大分県の代表も参加しており、席上、両県が「姉妹交流」を結び、"広布の虹の懸け橋"を築いていくことが発表された。
また、秋田は、「支部建設」「座談会の充実」を掲げてスタートを切ることも確認された。
この日、あいさつで伸一は語った。
「私の唯一の願いは、皆様が、"健康であっていただきたい。安定した生活であっていただきたい。
すばらしい人生であっていただきたい"ということです。
そして、そのための信心であり、信心即生活であることを銘記していただきたいのであります」
信心、学会活動は何のためか──それは広宣流布、立正安国のためであるが、その根本目的は、自分自身の幸福のためである。
唱題とともに、広宣流布、立正安国の実現への実践があってこそ、自身の生命の躍動も、歓喜も、人間革命も、宿命の転換もある。
さらに、わが家に、わがブロック・地区に、わが地域に、幸せの花を咲かせていく道が、日々の学会活動なのである。