小説「新・人間革命」 勝ち鬨 七十七  2018年3月10日

秋田県幹部会で山本伸一は、"人生の最も深い思い出とは何か"に言及していった。
「人それぞれに、さまざまな思い出がありますが、普通、それは、歳月とともに薄らいでいってしまうものです。
しかし、信心修行の思い出は、意識するにせよ、無意識にせよ、未来永劫の最高の思い出として残っていきます。
広宣流布の活動は、因果の理法のうえから、永遠の幸福への歩みであり、歓喜と躍動の思い出として、最も深く生命に刻印されていくからです」
まさに、「須く心を一にして南無妙法蓮華経と我も唱へ他をも勧んのみこそ今生人界の思出なるべき」(御書四六七ページ)と、御聖訓に仰せの通りである。
伸一は、自身の文京支部長代理としての活動や、一カ月で一万一千百十一世帯の弘教を成し遂げた関西での戦いを振り返りながら、日々、広宣流布に全力で走り抜くなかに、わが人生を荘厳する、黄金の思い出がつくられていくことを語った。
この日、彼は、秋田の幹部らに言った。
「来館した人たちと話し合っていると、『支部や地区のメンバーを、ぜひ、勤行会に参加させたい』との声が多い。そこで、明日は自由勤行会を行ってはどうだろうか」
皆、喜びに?を紅潮させながら頷いた。
「よし、決定だ。これまでは支部幹部以上の集いだが、明日からは、希望者は全員参加だ。
これからが勝負だよ。
勤行会の回数は、二、三回になってもかまいません。
私は、午前中、代表との協議会が入っているので、午前の勤行会が終了したところで参加した皆さんと合流し、一緒に記念撮影をします」
自由勤行会開催の連絡が駆け巡った。
翌十三日朝は、前夜からの雪が降り続いていた。秋田の同志は、降りしきる雪のなか、県北西部の能代や県中央部の大曲などから、意気揚々と集って来た。
「嵐吹きまく 雪原の 広布の法戦に 集いし我等……」とは、秋田の同志が、折に触れて歌ってきた県
歌「嵐舞」の一節である。