小説「新・人間革命」  勝ち鬨 七十九 2018年3月13日

山本伸一は、秋田の同志の敢闘に対して、さらに提案した。
「皆さんの健闘と、大勝利を祝い、勝ち鬨をあげましょう!」
「オー!」という声が沸き起こった。
そして、民衆勝利の大宣言ともいうべき勝ち鬨が、雪の天地に轟いた。
「エイ・エイ・オー、…………」
皆、力を込めて右腕を突き上げ、声を張り上げ、体中で勝利を表現した。
降りしきる雪は、さながら、白い花の舞であり、諸天の祝福を思わせた。
この瞬間、高所作業車のバケットに乗っていた「聖教新聞」のカメラマンが、シャッターを切った。
伸一は、呼びかけた。
「皆さん、お元気で! どうか、風邪をひかないように。また、お会いしましょう!」
午後一時半過ぎからは、この日、三度目となる自由勤行会が行われた。
ここにも伸一は出席し、勤行の導師を務めたあと、マイクに向かった。
彼は、日蓮仏法の仏道修行の原理原則は、「信・行・学」であることを確認するとともに、そのための学会活動であることを力説した。
そして、学会活動という実践のなかにこそ、仏道修行も、宿命転換も、一生成仏もあることを訴えたのである。
また、秋田県創価学会には多くの立派な教育者がいることから、協議会で検討し、教育部員の代表によって「秋田教育者クラブ」が発足したことを紹介し、地域貢献の柱となっていただきたいと期待を寄せた。
さらに、日本で最も広宣流布が進んでいる地域の一つとして仙北郡太田地域をあげ、その推進力となってきた草創の同志たちに光を当て、これまでの奮闘を讃え、心から励ましを送った。
伸一は、"どうすれば、各地域の特色を生かして、有効に広宣流布を進めていくことができるか"を、さまざまな角度から、常に考え続けていたのだ。それが、広布を担う指導者の在り方だからである。