2016-04-21から1日間の記事一覧

小説「新・人間革命」 力走20 2016年4月16日

高丘秀一郎は真剣に唱題を続けた。仏壇の前から離れなかった。 彼は、もう一度、信心を一からやり直すつもりで、自らの宿命への挑戦を開始していったのである。 一九七八年(昭和五十三年)四月上旬、高丘は、幹部に指導を受けようと、三重県長の富坂良史に…

小説「新・人間革命」 力走19 2016年4月15日

高丘秀一郎の右目が、突然、かすみはじめたのは、前年の一九七七年(昭和五十二年)十月、柿の実が赤く色づいていた日であった。 翌日には、ほとんど見えなくなった。 眼科で二週間、治療を受けたが、効果はなく、大学病院の脳神経外科を紹介された。 その時…

小説「新・人間革命」 力走18 2016年4月14日

山本伸一が妻の峯子と共に高丘秀一郎の家を訪ねたのは、午後四時過ぎであった。 並木通り沿いにある瓦屋根の真新しい二階屋で、道を隔てて高校のグラウンドが広がっていた。 高丘家には、既に伸一の訪問が伝えられており、主の秀一郎と妻の直子、高校一年に…

小説「新・人間革命」 力走17 2016年4月13日

関西入りした二十九日、創価学園の創立者である山本伸一は、学園の関係者から、関西創価小学校の建設などについて、深夜まで相談を受けた。 さらに、三十日には、大阪府交野市の創価女子学園(後の関西創価学園)に場所を移して、打ち合わせを続けた。 午後…

小説「新・人間革命」 力走16 2016年4月12日

十和田光一は、山本伸一の真心と気迫に圧倒されながら、話を聞いていた。 「病に打ち勝つ根本は、大生命力を涌現させていくことです。その力は、他者を守るために生き抜こうとする時に、最も強く発揮されるんです。 戦時下に生きた人びとの記録や、引き揚げ…