2012-10-07から1日間の記事一覧

小説「新・人間革命」厚田 29  2012年7月19日

山本伸一は、未来に思いを馳せながら、北海道の友に呼びかけた。 「戸田先生を顕彰するこの墓地公園には、国内にとどまらず、将来は、世界各地から、多くの人びとが来られるでありましょう。 どうか、その意味からも、この厚田に、世界の模範となる、麗しい…

小説「新・人間革命」厚田 28  2012年7月18日

山本伸一は、ここで御書の一節を拝した。 「『法華経を信ずる人は冬のごとし冬は必ず春となる、いまだ昔よりきかず・みず冬の秋とかへれる事を』(一二五三㌻) この御文の意味は、そのまま、この厚田村の風情に通じます。 厚田は、〝北海凍る〟と詩にも詠ん…

小説「新・人間革命」 2012年 7月17日 厚田27

山本伸一のスピーチとなった。 彼はまず、厚田村の村長ら来賓をはじめ、墓地公園建設に携わった関係者に、深い感謝の意を表した。 そして、毅然とした声で語り始めた。 「ホール・ケインの名著『永遠の都』のなかで、主人公のロッシィが綴る手紙の一節に、こ…

小説「新・人間革命」 2012年 7月16日 厚田26

戸田記念墓地公園のオープンを祝賀するかのように、美事な青空が広がり、太陽は白金に燃え輝いていた。 十月二日午前十一時、墓地公園内の戸田記念広場で、北海道の同志の代表ら二千五百人が参加し、墓園の開園式が挙行された。 二日は戸田城聖の命日である…

小説「新・人間革命」厚田 25  2012年7月14日

山本伸一は、元藤商店の数坪ほどの店内に並べられた商品を、次々と購入していった。 「このネギも、キャベツも、それから、あのブドウもいただきます」 さらに彼は、酢、ソース、殺虫剤、菓子、パンなども買った。 店の一隅には、うま味調味料の瓶も並んでい…

小説「新・人間革命」厚田 24  2012年7月13日

山本伸一は、祝賀の集いに続いて県長会に出席したあと、厚田村の望来でブロック長、ブロック担当員として活躍する、元藤徹・トミ夫妻が営む食料・雑貨店に向かった。 彼は、一九六〇年(昭和三十五年)に厚田村を訪問した折、当時、鮮魚店をしていた元藤夫妻…

小説「新・人間革命」厚田 23  2012年7月12日

創価学会として墓園を建設するために、学会本部に、墓苑公益事業部門が発足した時、墓園の三つの基本理念が設けられた。 それは、山本伸一の構想を骨子にして、つくられたものであった。 その第一は、「恒久性」である。 学会の墓園は、永遠の生命観に立ち、…

小説「新・人間革命」厚田 22  2012年7月11日

戸田城聖は、山本伸一と語り合った翌日、西神田の学会本部で行われた男子部結成式に出席した。あいさつに立った戸田は、強い確信を込めて話し始めた。 「今日、ここに集まられた諸君のなかから、必ずや、次の創価学会会長が現れるであろう」 そして、広宣流…

小説「新・人間革命」厚田 21  2012年7月10日

戸田城聖は、戦時中の軍部政府の弾圧で、牧口門下のほとんどが退転していった悔しさ、情けなさを、決して忘れることができなかった。 弾圧の嵐に遭えば、すぐに信念も理想も捨ててしまう、姑息で老獪な人間たちの変わり身の早さに、彼は、痛恨の思いをかみ締…

小説「新・人間革命」厚田 20  2012年7月7日

青年たちの墓地公園の感想を聞いた山本伸一は、力を込めて語った。 「この墓地公園も、みんな青年部の諸君が受け継いでいくんだよ。 青年は、学会の宝だ。どこまでも純粋に、広宣流布という大志、大望をいだいて、勇敢に突き進むことができるからだ。 学会も…

小説「新・人間革命」厚田 19  2012年7月6日

伊藤順次は、日を追って、健康を回復していった。二カ月後、彼は病院を出た。 退院に際して山本伸一は、「おめでとう! 本当に嬉しい。鉄のような頑健な体になってください」との伝言とともに、鉄製の花瓶を贈った。 伊藤は、伸一の真心に泣いた。 その後、…

小説「新・人間革命」厚田 18  2012年7月5日

東京で入院した伊藤順次は、医師から「胃潰瘍と十二指腸潰瘍を併発しています」と告げられた。 彼は、病室で、『一生懸命に信心に励んできた自分が、なんでこんなことになるのだ!』思った。 そこに、副会長の森川一正が、山本伸一からの見舞いの花を持って…

小説「新・人間革命」厚田 17  2012年7月4日

組織の中心幹部が強い求道の心をもち、成長し続けてこそ、後輩も成長していくし、組織も発展していくことができる。 ゆえに、幹部自身が信心の啓発を受けていくための、依処となる『人』の存在が大切になる。 その依処の根本となるのが『師』である。 戸田城…

小説「新・人間革命」厚田 16  2012年7月3日

一人立つ広宣流布の勇者がいれば、魂の炎は、一人、また一人と燃え広がり、赤々と暗夜を照らし出す。 一人立て! すべては一人から、自分自身から始まるのだ。 「自身の周囲を照らし燃やすためには、まず自身が燃えなければならない」とは、ロシアの文豪トル…

小説「新・人間革命」厚田 15  2012年7月2日

小樽問答は、山本伸一の師子吼を思わせる司会で始まり、伸一の言葉通り、学会側が大勝利を収めた。 伊藤順次は、大感動で身が震える思いがした。 創価学会の正義を実感し、生涯、学会とともに生きようと決意したのである。 一九五五年(昭和三十年)八月、小…