2013-01-01から1年間の記事一覧

若芽 40 2013年 12月6日

一九七九年(昭和五十四年)四月、四年生として公立の小学校から転入学してきた久藤智代は、左足に障がいがあった。 一歳半の時、踏切で事故に遭い、左脛の中ほどから下を失ったのである。 さらに、四歳の時に、母親が他界する。 父親は、その後、再婚した。…

若芽 39 2013年 12月5日

有竹正義は、明るく、のびのびと育っていった。学校が大好きな子になっていた。 特に「運動会」や「いもほり大会」の日など、喜び勇んで家を出ていった。 母親の富美枝は、わが子から、「学校が大好き!」という言葉を聞くたびに、嬉しくて仕方がなかった。 …

若芽 38 2013年 12月4日

有竹富美枝の日々は、激闘であった。 彼女が勤めた会計事務所は、事務員は二人という小さな事務所であったが、顧客は多かった。 朝、出勤し、帰ってくるのは、午後十時を回ることも少なくなかった。 確定申告の時期が近づくと、さらに仕事は増えた。 しかし…

若芽 37 2013年 12月3日

一九七七年(昭和五十二年)の十一月の下旬、新一年生の入学選考が行われた。 有竹富美枝は、事前に正義には、「あいさつだけは、しっかりしなさいね。あとは、わからないことは、わからないと言えばいいのよ」と、言い聞かせておいた。 富美枝は、子どもの…

若芽 36 2013年 12月2日

一九七七年(昭和五十二年)十月、有竹富美枝は、「聖教新聞」に掲載された東京創価小学校の募集要項を見た。 「できるなら、創価小に行かせたい!」そう思ったが、現実の生活を考えると、とても通わせることはできそうになかった。 婦人部の先輩と、子ども…

大白蓮華 2013年(平成25年)12月号(No.769)

大白蓮華 2013年(平成25年)12月号(No.769) わが友は「功徳善根」の長者なり 創価学会名誉会長 池田大作 地上に美しく咲き薫る花を愛でる人は多い。 地中で粘り強く支える根を褒(ほ)める人は少ない。 けれども、ドイツの大文豪ゲーテは、人知れずに根を…

【第44回】  健康第一で無上の幸福道を  (2013.11.24)

今、多くの新会員が誕生している。世界中で新しい広布の前進が始まった。青年部もリーダー率先で、弘教が目覚ましい。うれしい限りだ。 戸田先生は語られた。 「御本尊への強い願いは、必ず通ずる。それには、条件が三つある。一つ、題目。二つ、題目。三つ…

若芽 35 2013年 11月30日

教職員との懇談で、山本伸一が最も詳細に聞きたかったのは、児童の現況であった。 「長欠のお子さんはいますか?」 「両親共にいないお子さんは?」 「母子家庭のお宅は?」 「父子家庭のお宅は?」 彼は、矢継ぎ早に質問し、教職員の答えに耳を傾けながら、…

若芽 34 2013年 11月29日

教職員との懇談会の席上、東京創価小学校の校歌作成についても話題に上った。 山本伸一が、「どうですか。すばらしい校歌はできそうですか」と尋ねると、校長は、困惑した顔で語った。 「実は、皆で作詞をいたしましたが、「これは」というものがありません…

若芽 33 2013年 11月28日

児童は、やがてランチルームに移動した。山本伸一が用意したアイスクリームを食べるためである。 伸一もランチルームに行き、一緒にアイスクリームを食べながら、次々と子どもたちを自分の隣に呼び、家庭環境や、学校になじめているかなどを尋ねた。 また、…

若芽 32 2013年 11月27日

全校児童の合奏のあと、「たなばたさま」「お月さまの願い」の合唱が続いた。 声もそろい、元気で見事な合唱であった。司会役の女子児童も、よどみなく、堂々としていた。 開校から、わずか三カ月だが、児童の大きな成長を感じさせた。 次いで、校長の新木高…

若芽 31 2013年 11月26日

マルチパーパスルームでは、「七夕のつどい」のリハーサルが行われようとしていた。 山本伸一は、会場に入ると、整列していた児童の前に行き、前列の子どもたちと握手を交わしながら、「今日は、ありがとう!」「久しぶりだね」と言葉をかけた。 伸一が、用…

若芽 30 2013年 11月25日

山本伸一は、東京創価小学校の校長の新木高志たちから、折々に、児童の様子について、報告を受けることが楽しみでならなかった。 そして、そのたびに、小学校を訪問する機会を待ち遠しく思うのであった。 伸一が、入学式に続いて小学校を訪問できたのは、七…

若芽 29 2013年 11月23日

「立派な目標を達成するためには、よいスタートを切ることがおそらく一番重要なことだ」(注)とは、山本伸一と深い親交があった、ローマクラブを創立したペッチェイ博士の言葉である。 東京創価小学校の教職員も、児童も、創立者の伸一が贈った第一回入学式…

若芽 28 2013年 11月22日

創価一貫教育完成の祝賀会は、参加者全員の万歳三唱をもって終了した。山本伸一は、再び東京創価小学校に戻り、幼稚園から大学までの教員の代表と懇談会をもった。 彼は、ここでも、創価中学・高校の開校から十年、建設期の苦闘を共に担い、人間教育の土台を…

若芽 27 2013年 11月21日

東京創価小学校の入学式が行われた四月九日、山本伸一は、児童、保護者らとの昼食会に引き続いて、創価学園の体育館で行われた創価一貫教育完成の祝賀会に出席した。 これには、札幌創価幼稚園から創価大学までの教職員や在校生、保護者、卒業生、さらには、…

若芽 26 2013年 11月20日

東京創価小学校の児童による「春が来た」の合唱のあとは、親子合唱であった。 校歌はまだなかったため、山本伸一作詞の「お月さまの願い」を合唱した。歌詞は、創価女子学園の生徒が大きく書いてくれていた。 静かな 静かな 大空に 大きな 心を 持ちなさい …

若芽 25 2013年 11月19日

子どもたちの食事が終わりかけたころ、創立者・山本伸一からの図書の寄贈が発表された。子どもたちから、歓声と大きな拍手が起こった。 続いて、創価女子学園を代表して、高校三年の生徒が、マイクに向かった。 「東京創価小学校の新入生の皆さん、入学おめ…

若芽 24 2013年 11月18日

記念植樹に引き続いて山本伸一は、入学記念の昼食会が行われるランチルーム(現在のおとぎ食堂)に向かった。 児童、保護者、来賓などを合わせ、七百人の昼食会である。 ランチルームには、縄跳びや輪投げに興じる子どもたちの姿が、大きく描かれていた。 児…

長編詩「希望は人生の宝なり」

長編詩「希望は人生の宝なり」 池田 大作 希望は 人生の宝なり。 常に 希望を持てる人は 幸いなり。 どんな財宝を持ち どんな権勢を持ち どんな名声を持とうとも 希望を見失った人生は 早々と挫折(ざせつ)していくに 違いない。 古代ローマの哲人 キケロは…

広宣流布大誓堂 落慶記念勤行会へのメッセージ

東京・信濃町に完成した、総本部の落慶記念勤行会が8日、諸天も寿ぐ秋晴れのもと、晴れやかに行われた。席上、総本部の新名称「広宣流布大誓堂」が発表された。総本部の呼称は今後、広宣流布大誓堂を中心とした、信濃町周辺の学会施設の総称として用いる。…

【第43回】  生涯不退転の信心を燃やせ 2013.11.15)

伝統の教学部任用試験が、もうすぐだ。 受験者の皆さん、本当にご苦労さま! 風邪などひかれませんように。教えてくださっている方々、応援してくださる全ての皆様方に、心から感謝申し上げたい。 アメリカの友は「新会員が教学試験を受けるまでが折伏だ」と…

【第42回】  尊き同志に生命の勲章を (2013.11.3)

全国、全世界の創価の同志が意気軒高だ。広布を支えてくださる全ての皆様方に、心から感謝を申し上げたい。 来る日も来る日も、あの人の奮起を祈り、この一家の和楽を願って、奔走する。 皆様こそ、生命の大勲章を贈られるべき、最高に尊貴な人である。誰が…

【第41回】  幸福の道を大胆に進め (2013.10.27)

今、若きリーダーが先駆を切って弘教に走っている。最高に偉大な青春の劇だ。大胆に進むのだ。 折伏は、どんな善よりも、はるかに尊い、一番の善である。目先の富や満足を友に送るのとは、次元が違う。 妙法を持《たも》つ人は、永遠に幸福になっていける。…

【第40回】  題目は全てに勝利の原動力  (2013.10.20)

希望あふれる未来部の皆さん! 勇んで進みゆく挑戦の心が、私はうれしい。 1960年の10月、私は、初めて世界へ旅立ちました。 それは、師匠である戸田城聖先生から託された「広宣流布」すなわち「世界平和」を実現するための第一歩でした。 そして半世紀がた…

【第39回】  自分が変われ 行動を起こせ (2013.10.14)

いよいよ、教学の秋、人材育成の秋本番だ。 今、新しい英知と情熱の若人が陸続と集い、生き生きと立ち上がってくれている。 未来は明るい。見事な発展だ。これほどの喜びはない。 これからも、この素晴らしい若き地涌のスクラムが、いよいよ広がっていくこと…

【第38回】  縁した友に大誠実の対話を (2013.10.6)

晴れやかな総本部の竣工、おめでとう! すごい学会になった。すごい人材が育った。私は本当にうれしい。布陣を整え、さらなる発展へのバトンタッチを頼みます。 これまで頑張ってくれた友は、後継を自分以上に育て、守り支え、一緒に光っていくことを、無上…

【第37回]  困難が自分を強く鍛える (2012.9.29)

後継の宝であり、学会の未来を決する青年たちが、世界中で皆の先頭に立ち、折伏精神に燃えて戦ってくれている。これほど、うれしいことはありません。 日蓮大聖人は「強敵《ごうてき》を伏して始て力士をしる」(御書957㌻)と仰せです。 すなわち、“強敵を…

【第36回]  女性の祈りに勝るものなし (2012.9.21)

晴れやかに、また、にぎやかに、伝統の婦人部総会が、各地で行われている。 自在に創意を光らせ、希望の対話の花を、楽しく咲かせている。本当に素晴らしい。 女子部も元気に友情のスクラムを広げている。心美しき世界の乙女が、友のため、社会のため、広宣…

若芽 23 2013年 11月16日

山本伸一は、四月九日、東京創価小学校の入学式終了後、「王子の木」「ひめの木」の記念植樹に参加し、一緒に万歳を三唱した。 それから、正門を入って、すぐ右側に植えられた一本の桜の前に立った。 小学校の校舎建設の責任者を務めた所長の鈴木元雄を顕彰…