新・人間革命

小説「新・人間革命」 誓願 百十三  2018年8月8日

「栄光・躍進の年」と定めた一九九五年(平成七年)の元日、山本伸一は、創価学会本部での新年勤行会でスタートを切った。 一月十五日「成人の日」、伸一は婦人部と新宿区の代表との協議会を開き、二十一世紀を担うリーダー像について語った。 「これから求…

小説「新・人間革命」  誓願 百十二  2018年8月7日

エイルウィン大統領は任期を終えて四カ月後の一九九四年(平成六年)七月、夫妻で日本を訪問し、その折には、創価大学で記念講演を行った。 山本伸一とは、通算、三回にわたって会談し、これらの語らいなどをもとに、九七年(同九年)十月、対談集『太平洋の…

小説「新・人間革命」 誓願 百十一  2018年8月6日

「創価家族の集い」では、「シ・バス・パラ・チレ」(もしもチリへ行くのなら)を大合唱した。 山本伸一も一緒に手拍子を打った。 この地の人びとは皆 旅人よ あなたを迎えてくれます チリでは ほかの地から来た人が どれほど好きか あなたは おわかりになる…

小説「新・人間革命」 誓願 百十 2018年8月4日

第一回チリSGI総会のスピーチで山本伸一は、チリの各地で活動に励む同志の労苦を思いながら、「逆境に負けずに頑張り抜いてこられた皆様には、アンデスの山並みのごとく、限りなく功徳が積まれていくことは絶対に間違いない」と賞讃した。 伸一は、さらに…

小説「新・人間革命」 誓願 百九 2018年8月3日

チリの首都サンティアゴでは、一九七三年(昭和四十八年)、軍事クーデターが勃発した。 上空には戦闘機が飛び交い、街には戦車や武装兵があふれた。 メンバーの中心者夫妻の家も、戦いに巻き込まれ、機銃掃射を浴びた。 二階は銃弾で蜂の巣のようになったが…

小説「新・人間革命」  誓願 百六 2018年7月31日

一九七四年(昭和四十九年)、山本伸一は、ブラジルを訪問する予定であった。 しかし、学会に対する誤解などがもとでビザが発給されず、結局、ブラジル行きはなくなった。 この時、パラグアイ音楽隊は、伸一の前で演奏し、パラグアイの同志の心意気を示した…

小説「新・人間革命」 誓願 百八 2018年8月2日

山本伸一は、恩師・戸田城聖の逝去から二年余がたった一九六〇年(昭和三十五年)五月三日、第三代会長に就任すると、その五カ月後の十月二日には、世界平和の旅へ出発した。 第一歩を印したハワイでは、連絡の手違いから、迎えに来るべきメンバーも来ていな…

小説「新・人間革命」〉 誓願 百七 2018年8月1日

山本伸一は、大統領との会見に続いて、パラグアイの外務省を訪れた。 同国の「国家功労大十字勲章」の授章式に出席するためである。授章式であいさつに立った外相は、伸一の平和行動に言及し、こう語った。 「誠実な『対話』を通してのみ、差別をなくし、地…

小説「新・人間革命」  誓願 百六 2018年7月31日

一九七四年(昭和四十九年)、山本伸一は、ブラジルを訪問する予定であった。 しかし、学会に対する誤解などがもとでビザが発給されず、結局、ブラジル行きはなくなった。 この時、パラグアイ音楽隊は、伸一の前で演奏し、パラグアイの同志の心意気を示した…

小説「新・人間革命」 誓願 百五 2018年7月30日

第一回パラグアイSGI総会の席上、山本伸一は、「諸天は、勇気ある人を守る!」と訴え、一人立つことの大切さを語った。 「人数ではありません。一人、真剣に立ち上がれば、自分に縁するすべての人びとを、また、環境も栄えさせていくことができる。 その…

小説「新・人間革命」 誓願 百四 2018年7月28日

山本伸一の平和旅は続いた。 一九九三年(平成五年)二月二十日、伸一の広布開拓の舞台は、アルゼンチンからパラグアイへと移った。 このパラグアイも初めての訪問である。 そこは、大河パラグアイ川をはじめ、幾多の河川が大地と人間を潤す、美しき「森と水…

小説「新・人間革命」 誓願 百三 2018年7月27日

「タンゴの皇帝・プグリエーセ」と「タンゴの王者・モーレス」の"夢の共演"に、青年平和文化祭は沸き返った。 山本伸一は、一つ一つの演技に大きな感動を覚えながら、励ましと賞讃の拍手を送り続け、文化祭を記念して和歌を贈った。 「天も地も 喜び祝さむ …

小説「新・人間革命」 誓願 百二 2018年7月26日

世界青年平和文化祭の三日前にあたる十五日のことである。会場のコリセオ劇場に姿を見せたマリアーノ・モーレスは、アルゼンチンのメンバーに語った。 「文化祭が行われる十八日は、私の誕生日です。でも、お祝いはしません。 SGI会長と皆さんのために演…

小説「新・人間革命」 誓願 百一 2018年7月25日

二月十八日夜には、第十一回世界青年平和文化祭が、「民族融合の大地に 希望の曲」をテーマに、男女青年部ら千五百人が出演して、ブエノスアイレス市のコリセオ劇場で、はつらつと開催された。 同市の公式認定行事となった、この文化祭には、ガリ国連事務総…

小説「新・人間革命」 誓願 百 2018年7月24日

上院議長は、山本伸一との語らいの折、アルゼンチン議会で、伸一の平和提言などをもとにして、法律を作ったことを伝えた。 それは、新たに「平和の日」を設け、アルゼンチンの小学・中学・高校等で、平和について学び合い、諸行事を行うという法律である。 …

小説「新・人間革命」 誓願 九十九 2018年7月23日

二月十六日正午、山本伸一は、ブエノスアイレスの大統領公邸に、カルロス・サウル・メネム大統領を表敬訪問した。 語らいで伸一は、二十一世紀は、「人類一体化の世紀」「地球文明興隆の世紀」にしなければならないとして、民族の融合の大地アルゼンチンに脈…

小説「新・人間革命」〉 誓願 九十八 2018年7月21日

山本伸一は、声を弾ませて語っていった。 「アルゼンチンと日本は、地球の反対側に位置し、距離的には最も離れています。 そのアルゼンチンの皆様と、日蓮大聖人の御聖誕の日をお祝いすることができた。 大聖人は、どれほどお喜びであろうか。 アルゼンチン…

小説「新・人間革命」 誓願 九十七  2018年7月20日

山本伸一がリオデジャネイロを発ち、初訪問となるアルゼンチンへ向かったのは、二月十四日であった。 ブラジル文学アカデミーのアタイデ総裁は、その後、しばらくして体調を崩した。 しかし、伸一との対談集発刊への情熱は、いささかも衰えなかった。 幾分、…

小説「新・人間革命」 誓願 九十六 2018年7月19日

ブラジル文学アカデミーが、"文化・文学の偉大なる保護者"と認める在外会員には、ロシアの文豪レフ・トルストイ、フランスの人道主義作家エミール・ゾラ、イギリスの社会学者のハーバート・スペンサーなど、知の巨人たちが名を連ねてきた。 山本伸一は、日本…

小説「新・人間革命」 誓願 九十五 2018年7月18日

アタイデ総裁は、静かだが、深い思いのこもった口調で、山本伸一に切々と訴えた。 「私は、もうすぐ百歳を迎えます。これまで生きてきて、これほど『会いたい』と思った人は初めてです。 会長は、偉大な使命のある方です。人間学と人間性の人であり、精神の…

小説「新・人間革命」〉 誓願 九十四 2018年7月17日

十一日、山本伸一は、リオデジャネイロ連邦大学での名誉博士号の授与式に出席した。 謝辞のなかで彼は、この日が恩師・戸田城聖の生誕記念日であることに触れ、師の哲学について語った。 「私は恩師から、"誰人であれ、平等に、内なる生命の最極の宝を開いて…

小説「新・人間革命」 誓願 九十三 2018年7月16日

山本伸一は、皆の幸せを願いつつ訴えた。 「戸田先生は、『法華を識る者は世法を得可きか』(御書二五四ページ)との御文について、努力もせずに、『ご利益があるんだというような読み方は、断じて間違いである』と断言され、こう続けられている。 『自分の…

小説「新・人間革命」 誓願 九十二 2018年7月14日

山本伸一がリオデジャネイロの空港に到着したのは二月九日の午後九時であった。 一行を、ブラジル文学アカデミーのアタイデ総裁らが、包み込むような笑みで迎えてくれた。 総裁は、一八九八年(明治三十一年)生まれで、一九〇〇年(同三十三年)生まれの恩…

小説「新・人間革命」 誓願 九十一 2018年7月13日

ガビリア大統領は、山本伸一の訪問を心から歓迎し、コロンビアの「サン・カルロス大十字勲章」を贈った。 さらに、この日、伸一は、「日本美術の名宝展」の開幕式に出席し、ここでも文化庁長官から、「文化栄光勲章」を受けている。 九日、彼は、空路、ブラ…

小説「新・人間革命」 誓願 九十 2018年7月12日

二月六日、山本伸一は、アメリカのマイアミから、コロンビア共和国へ向かった。 セサル・ガビリア・トルヒーヨ大統領並びに文化庁の招聘によるもので、コロンビアは、初めての訪問である。 大統領は、一九九〇年(平成二年)八月、同国最年少の四十三歳で就…

小説「新・人間革命」 誓願 八十九 2018年7月11日

山本伸一は、"掲載される写真を、自分との語らいの場面にしたい"という、ローザ・パークスの要請に恐縮した。 後日、出版された写真集が届けられた。彼女の言葉通り、伸一と握手を交わした写真が掲載されていた。 「人権運動の母」の、優しく美しい笑顔が光…

小説「新・人間革命」 誓願 八十八 2018年7月10日

一九九三年(平成五年)を、学会は「創価ルネサンス・勝利の年」と定めた。 山本伸一は一月下旬から、約二カ月にわたって、北・南米を訪問した。 アメリカでは、カリフォルニア州にある名門クレアモント・マッケナ大学で「新しき統合原理を求めて」と題して…

小説「新・人間革命」〉 誓願 八十七 2018年7月7日

山本伸一は、広布に走った。 "権威主義、教条主義の宗門の鉄鎖から解き放たれた今こそ、世界広宣流布の壮大にして盤石な礎を築かねばならない。時が来たのだ! 新時代の希望の朝が訪れたのだ!" 彼は、西暦二〇〇〇年、つまり二十世紀中に、その布石を終える…

小説「新・人間革命」 誓願 八十六 2018年7月6日

山本伸一は、沖縄研修道場に集ったアジアの同志に、沖縄の同志に、そして、衛星中継で結ばれた日本の全同志に呼びかけた。 「わが創価家族は、『誠実』と『平等』と『信頼』のスクラムで、どこまでも進む。国境 もない。民族の違いもない。なんの隔てもない─…

小説「新・人間革命」 誓願 八十五 2018年7月5日

沖縄研修道場の開設にあたって、当初、ミサイルの発射台は、撤去する予定であった。それを聞くと、山本伸一は提案した。 「人類が愚かな戦争に明け暮れていた歴史の証拠として残してはどうだろうか。そして、この研修道場を世界の平和の象徴にしていこう!」…