小説「新・人間革命」  5月26日 共鳴音7

山本伸一の声に、一段と力がこもった。

「私は、いかなる事態になろうとも、情勢がどう変わろうとも、今までの十倍、二十倍、三十倍、五十倍と力を尽くし、皆さんを、創価学会を守り抜いてまいります。

 それが会長です。皆さんのために会長がいるのだと、私は心を定めております。

 何があろうとも、どんな困難に遭遇しようと、私は皆さんを守るために、一歩でも、二歩でも、前進するのだと決めて、力の限り戦います。

 広宣流布のため、世界の平和のため、人類の幸福のために、これからも全力で進んでまいりますので、どうか、よろしくお願いいたします」

 会場を揺るがさんばかりの大拍手が起こった。

 これで、記念式典での山本会長のスピーチは終わった。

 彼は退場に際しても、参加者のなかに飛び込むようにして、次々とメンバーと握手を交わしていった。

 このあと、伸一は、海外からの来賓と会談し、さらに、創価大学の構内で行われた男子部、学生部の代表の集いに出席したのである。

 そこには、青年部長をはじめ、百人近い青年たちがいた。いずれも青年部の最高幹部や各方面の男子部、学生部の中心幹部たちである。

 伸一は会場に姿を見せると、皆に言った。

「さあ、始めよう! 

 私は、この日を待っていたんだ。

 諸君の代表から、かつての水滸会に代わって、新しい創価学会を担う人材育成のためのグループを結成したいとの要請を受けました。大事なことです。大賛成です。

 このグループは、あえて私の名を取って、『伸一会』と命名します。

 青年部の中核である諸君は、私の分身として、広宣流布の一切の核となり、世界の同志を守り抜き、未来建設の原動力になっていただきたい。

『俺たちがいれば大丈夫だ! 学会は微動だにしない!』と、胸を張って言えるようになってもらいたい。

 それには、団結だ。みんなで力を合わせていくことです。古今東西、これが勝利の要諦です」

 ――「団結しよう、されば我らは無敵となる」(注)とは、南米解放の指導者シモン・ボリバルの叫びである。



引用文献:  注 ボリバル著『解放者の著作10』ベネズエラボリバル協会(スペイン語版)