2016-01-01から1年間の記事一覧

小説「新・人間革命」源流 28 2016年10月4日

山本伸一の妻の峯子は、各テーブルを回って女性たちに声をかけていたが、席に戻ると伸一に語った。 「インドには、たくさんの人材が誕生していて、未来が楽しみですね」 「そうだね。私は、仏教発祥の地であるこのインドにこそ、世界模範のSGIを創ってい…

小説「新・人間革命」源流 27 2016年10月3日

山本伸一は、同じテーブルに着いたメンバーや、あいさつに訪れる人たちと語らい、時に相談にものり、激励を重ねた。 自分は地域の仏法のリーダーだが、信仰体験も指導力も乏しく、指導に際して自信がもてずに困っているという質問もあった。 「高みから人を…

大白蓮華 2016年(平成28年)10月号(No.804)

創価学会名誉会長 池田大作 皆が「幸福学」の博士に! 若き日、心に刻(きざ)んだビクトル・ユゴーの一節に、「羅針盤(らしんばん)さえもっていれば、嵐(あらし)もこのわたしには大したことではありません」とあつた。 “人類の精神史は、確かな哲学の羅…

【第34回】 多宝の父母のご多幸を祈る (2016.9.29)

国も・へだたり年月もかさなり候へば・たゆむ御心もやとうたがい候に・いよいよ・いろをあらわしこうをつませ給う事・但一生二生の事にはあらざるか (国府入道殿御返事、1323ページ) (通解) (身延と佐渡は)国も遠く隔たり、(私〈大聖人〉が佐渡を離…

小説「新・人間革命」源流 26 2016年10月1日

インドのメンバーとの語らいを通して山本伸一が感じたことは、多くの人が宿命の転換を願って信心を始めたということであった。 インドでは、業(カルマ)という考え方が定着している。 ─すべての生命は、永遠に生と死を繰り返す。その輪廻のなかで、業、すな…

小説「新・人間革命」源流 25 2016年9月30日

山本伸一は懇談会で、一人ひとりに激励の言葉をかけていった。 メンバーのなかに、全インドの責任者である地区部長を務める女性がいた。 前日、伸一が図書贈呈したデリー大学で、経済学の講師として教壇に立つラビーナ・ラティである。 彼女が御本尊を受持し…

小説「新・人間革命」源流 24 2016年9月29日

ICCRの歓迎レセプションが終わると、山本伸一は、急いでニューデリーにあるホテルへ向かった。 インドのメンバーをはじめ、日本から来た「インド文化研究会」一行らとの会食懇談が予定されていたのである。 会場の入り口でインドのメンバーが、「センセ…

小説「新・人間革命」源流 23 2016年9月28日

山本伸一たち訪印団一行は、午後六時半から、ICCR(インド文化関係評議会)が主催する歓迎レセプションに出席した。 星空のもと、ICCR本部の前庭で開かれた歓迎レセプションには、クンドゥー外務担当閣外大臣をはじめ、ICCR副会長で仏教学者とし…

小説「新・人間革命」源流 22 2016年9月27日

山本伸一はデサイ首相に、「ぜひ、日本にお迎えしたい」と語った。もし、訪日が実現すれば四度目の訪問となる。 「日本に行きたいとは思っていますが、具体的な計画はありません。 私はむしろ、日本の首相にインドを訪問していただきたい」 さらに、日本にい…

小説「新・人間革命」源流 21 2016年9月26日

山本伸一が、「長い人生で最も嬉しかったこと、そして最も悲しかったことはなんでしょうか」と尋ねた時、デサイ首相の楽観主義という生き方は、さらに鮮明になった。 「私は、今までに悲しいと思ったことはありません。すべてのことを、嬉しい、楽しいと思っ…

第33回】 仏法の人間主義を時代精神に (2016.9.23)

法華経は露・涓・井・江・小河・大河・天雨等の一切の水を一滴ももらさぬ大海なり (報恩抄、324ページ) (通解) 法華経は、露、小さな流れの水、井戸の水、川の水、小さい川、大河、空から降る雨などのあらゆる水を、一滴ももらさず収める大海である。 …

【第2回】 祈りのかなはぬ事はあるべからず (2016.9.21)

何があっても唱題から出発 歴史学者のトインビー博士は晩年(ばんねん)も毎朝、決まった時間に、その時の気分にかかわらず机に向かって研究を始められた。 学問も、芸術も、スポーツも、一流の次元には、たゆまぬ価値創造(かちそうぞう)のためのリズムが…

【第1回】 新たな決意で 新たな前進を (2016.9.7)

永遠の幸福の軌道を善友と 大空には鳥の飛ぶ道があり、大海には魚の泳(およ)ぐ道がある。人にも人の歩むべき道がある。 最も充実(じゅうじつ)した「青春勝利の大道」。それを明快(めいかい)に示しているのが、正しき信仰である。 世界第一の生命尊厳(…

小説「新・人間革命」源流 20 2016年9月24日

訪印二日目の二月七日──。 午前十時半、山本伸一たちは、モラルジ・デサイ首相の官邸を訪ねた。ニューデリーのサフダルジャン通りにある、緑に囲まれた白い建物であった。 首相は、間もなく八十三歳になるという。 インドの多くの指導者がそうであるように、…

小説「新・人間革命」源流 19 2016年9月23日

山本伸一が「インド文化研究会」のメンバーと共にローディー庭園を散策していると、少年たち数人が来て、少し離れたところから珍しそうに一行を見ていた。 伸一は、手招きし、「みんなで写真を撮ろう」と声をかけた。大槻明晴がヒンディー語で通訳した。 は…

【第25回】 常勝の誓いよ 永遠に輝け (2016.9.20)

秋の彼岸に当たり、全国の墓地公園・納骨堂、また会館で法要が営まれている。 殉教の先師・牧口常三郎先生の生誕の地である新潟・柏崎市でも、待望の墓園の建設が始まった。 私も、全同志の先祖代々、また功労の方々の追善回向を懇ろに行っている。 日蓮大聖…

【第24回】 世界の若人と広布の山を (2016.9.2)

台風が猛威(もうい)を振(ふ)るった東北、北海道はじめ各地の方々に心からお見舞い申し上げます。 被災された皆さま方は大変でしょうけれども、「わざはひも転(てん)じて幸(さいわい)となるべし」(御書1124ページ)と仰せの如く、必ずや変毒為薬(…

小説「新・人間革命」源流 18 2016年9月22日

大槻明晴は、山本伸一と関西の各大学会の代表との懇談が行われた一カ月後の一九七二年(昭和四十七年)七月、インドへ渡り、ベナレス(後のバラナシ)のサンプールナアナンド・サンスクリット大学に入学した。 二年後に帰国し、貿易会社で二年ほど働き、さら…

小説「新・人間革命」源流 17 2016年9月21日

山本伸一たち一行は、デリー大学への図書贈呈式に続いて、大学関係者と教育問題などについて意見交換し、再会を約し合ってキャンパスをあとにした。 時刻は午後四時を回っていた。一行は、デリー大学にほど近い、ニューデリーの中心部にあるローディー庭園へ…

小説「新・人間革命」源流 16 2016年9月20日

デリー大学での図書贈呈式では、山本伸一からメヘロトラ副総長に、寄贈する自然・社会科学、文学、芸術など一千冊の書の一部と図書目録が手渡された。 最後にA・P・スリバスタバ図書館長が立ち、贈書への深い感謝を述べ、「これは今後の相互理解への根本的…

小説「新・人間革命」源流 15 2016年9月19日

山本伸一は、メヘロトラ副総長のあいさつを聴きながら思った。 “現在のインドは、まだ発展途上にあるかもしれない。 しかし、人びとの目は輝き、言葉を交わせば笑みの花が咲く――それは、民衆の心の豊かさを示してはいないか。 今後、インドも急速に工業化、…

〈随筆 永遠なれ創価の大城 11〉 わが誓いを永久に 2016年9月15日

青年と共に前へ! 青年の心で語れ! 人類共生の希望の大哲理を広げよ 生涯、師と共に! 広宣流布は我らの手で! 世界55カ国・地域からSGI青年研修会に集った友が意気高く(2日、創価文化センターで) 母たちの 労苦を忘れず 広布かな 今日も発心 生涯…

【第32回】〉 わが婦人部に幸福あれ (2016.9.14)

法華経は女人の御ためには暗きに・ともしび・海に船・おそろしき所には・まほりと・なるべきよし・ちかはせ給へり (乙御前御消息、1220ページ) (通解) 法華経は、女性のためには、暗い夜にはともしびとなり、海を渡るときには船となり、恐ろしい所では…

小説「新・人間革命」源流 14 2016年9月17日

二月六日の午後三時、山本伸一たち訪印団一行はデリー大学を訪問した。図書一千冊を寄贈する贈呈式に出席するためである。 同大学は、一九二二年(大正十一年)に創立されたインド最高峰の総合大学の一つで、中国・日本研究学科もあり、日本を研究するための…

小説「新・人間革命」源流 13 2016年9月16日

大河内敬一が渡印したころ、インドは、干ばつによる食料不足や物価高騰、失業、汚職などから反政府運動が高まり、政情不安の渦中にあった。 物情騒然とし、多くの外国企業が、インドから引き揚げていった。 そのなかで、彼の留学生活は始まったのである。 当…

小説「新・人間革命」源流 12 2016年9月15日

大河内敬一は、大学進学にあたって、インドで職業に就くには建築技術を身につけることが必要だと考え、工業大学の建築学科へ進んだ。 また、インドの公用語となっている英語の習得に力を注いだ。 さらに、同じ公用語であるヒンディー語を学ぼうと、語学学校…

小説「新・人間革命」源流 11 2016年9月14日

大河内敬一が、最初にインドに関心をもったのは、幼いころに、近所の学会員で、世界を舞台に活躍している創作舞踊家夫妻から、「インドはいいところだよ」と聞かされたことだった。 やがて、インドのニュースなどに、よく耳を傾けるようになった。 幼少期に…

小説「新・人間革命」源流 10 2016年9月13日

山本伸一たち訪印団一行は、ニューデリーのアショーカホテルに宿泊した。 六日朝、辺りは靄に包まれ、空気はひんやりとしていた。 緑の木々から流れる鳥のさえずりが、のどかな思いに浸らせた。 しかし、市街に出ると、人でごった返し、物売りの声が響き、喧…

【第31回】 善のスクラムを築きゆけ (2016.9.6)

甲斐無き者なれども・たすくる者強ければたうれず、すこし健の者も独なれば悪しきみちには・たうれぬ (三三蔵祈雨事、1468ページ) (通解) ふがいない者でも、助ける者が強ければ倒れない。少し強い者でも独りであれば、悪い道では倒れてしまう。 同志…

【第30回】どこまでも健康第一で 2016年8月22日

この仏・不死の薬をとかせ給へり・今の妙法蓮華経の五字是なり、しかも・この五字をば閻浮提人病之良薬とこそ・とかれて候へ(妙心尼御前御返事、1479ページ) (通解) この仏は不死の薬を説かれたのである。今の妙法蓮華経の五字がこれである。 しかも、…